ダンカンテイラー グレンエルギン 11年

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祝・ボトラーズデビュー。

 

 誕生日だったのでちょっと良いウイスキーを買いたいなと思っていて、あれこれネットで調べたりしていました。その中でボトラーズに手を出そうと決め、シグナトリーかな? それともやっぱりG&Mかな?なんて考えていたんですが、ふらり立ち寄った酒屋でなぜかこのボトルに釘付けになり、結局買うまで知りもしなかったダンカンテイラーを買ってしまったのでした。

 今までお酒に1万円以上出したことなかったのでさすがに悩みました。スマホでレビューを調べても全くヒットしないので心配になり、店内を45分位うろうろしながらひたすらに悩みました(もはや不審者…)。最後は心臓バクバクしながらもなんとかクレジットカードを差し込みました。これでまずかったらどうするよという気持ちで、帰宅後恐る恐る開封して飲んでみたわけですが、しっかり美味しかったので安心しました。

 

 香りはあまりよくわからなかったのでいきなり味からですが、ほのかな塩気に焦がした木とバニラ、麦のしっとりとした甘みが広がります。商品ページにはリンゴやジンジャーなどと書かれていましたが、あまりフルーティさやスパイシーさは感じませんでした。口の中での味の変化はあまりなくやや単調目。余韻もそんなに長くないような気はします。こう書くととてもつまらないウイスキーのようですが決してそんなことはありません。芳醇な甘みが口いっぱいにじんわりと広がるので、飲んでてとても幸せな気分になれます。

 とにかく脚色された感じの無い自然な味わいというのが主な印象です。よく言えばとてもバランスが良い、悪く言えば地味。パンチがあるわけでも、とても複雑なわけでもありませんが、全体的にはうまく調和して、ちょうどいいところに収まっている感じがします。

 カスクストレングスではありますが54.8%という度数が実にちょうど良くて、ゆっくりと味わいを楽しみつつもしっかりと飲みごたえもあって大変いい塩梅だと感じました。グレンファークラス105(60度)を飲んだ時はちょっとパンチありすぎるかなという感じだったので、55度近辺がマイベスト度数な気がします。というかそろそろ本格的に43度とかだと物足りなくなってきました。40度はもうダメです笑

 まとめると、スモーキーだったりがっつりシェリーだったりしない、スペイサイドらしく穏やかでバランスが良く、それでいてしっかり飲みごたえのあるウイスキーが飲みたいという方には大変おすすめな一本です。

 

 

モローノーデ シャブリ 1er レ・フォレ 2018

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久々の更新です。真面目に書くと長くなって続かないので、短めの備忘録です。

ちょっといい白ワインが飲みたくて購入。4400円。なかなかにいいお値段でお札を出す手が震えました。

抜栓直後ふわっといい香りが。飲んでみると明らかに味が濃い。温度が上がってくると開いてきて、マンゴーのようなトロッとした感じが出てくる。あまり辛くはなくキレはそこまで感じないが、ミネラルっぽい苦味はしっかり感じる。アルコール感はほぼなし。少しだけピリピリ。

前に別の普通のシャブリを飲んだことありますが明らかにそれより格上です。さすがプルミエ・クリュなのか。気軽には買えませんが値段にはちゃんと見合っていました。

グレンファークラス105

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 購入価格:5000円弱 味:A- コスパ:B 

 

 人生初カスクストレングス。

 味の濃いウイスキーが飲みたくてついにカスクストレングスに手を出してしまいました。60度なんて飲めるのか、1Lなんか買って飲みきれるのか、というか飲めなかったらどうするのか、等々色々悩みましたが結局はリッターボトルにしてしまいました。700mLと1Lが大して値段変わらなかったらそりゃ1Lにせざるを得ないってもんです。
 恐る恐るストレートで飲んでみると、口に入れた瞬間一気に揮発するアルコール、いまだかつて体感したことのない舌への刺激。一口目で明らかな身の危険を感じました。
この時点で間違いなくやばいと分かるクレイジーウイスキーですが、しかしこれが美味い。度数うんぬんよりとにかく味が濃い。濃厚というよりは濃縮。言わば、


木にかじりついて甘い蜜をちゅうちゅう吸ってる


という位、味や香りが凝縮されてます。

 焦がしたカラメルのような香りと苦み、ドライフルーツやプルーンのような渋めの甘さ、そしてやっぱり木を強く感じるのでシナモン感と言えばいいのでしょうか。普通テイスティングするときは様々な要素を敏感に感じ取るものだと思いますが(へたくそなので大体わからない)、これに限っては感じ取る必要なんてありません。それぞれの要素が順番に飲み手を全力で殴りつけてきます。

 ただ、悠長に味わってる暇は残念ながらありません。なぜなら強烈な舌への刺激がすぐそこに迫っているからです。口に入れてから刺激に襲われるまでのおよそ1秒間、そのわずかな時間をどれだけ楽しめるか、そんなウイスキーです。

 60度なので流石に加水しようかなと思って、普通のウイスキー位(40度あたり)にして飲んでもみましたが、うーん。このウイスキーに限らず個人的に加水ってあんまり好きじゃないです。刺激は確かに落ち着く代わりに木(樽)の嫌な香りが出る気がするというか。ロックとかハイボールも苦手です。なので60度にもかかわらず結局ずっとストレートで飲んでます。

 (ちなみにこの加水したときの味がなんとなく新グレンリベット12年っぽくて、「あれは酒自体の味というより薄め過ぎたんかなあ」なんて思いました)

  初めの一口は死を感じる程のインパクトでしたが、何度か飲むうちに結局慣れてきてしまいました。60度のリッターボトルなんか1年は持つんじゃないかなんて思ってましたが、普通に減ってます。これを飲んでから今まで当たり前に飲んでた43度位のを飲むと明らかに物足りなくなってきてしまいました。

 1本飲み切ったらお腹いっぱいで1年はもう買わなくていいかなと思うものの、1年後にまだ同じ値段で売ってたらきっとまた欲しくなる、そんなウイスキーでした。

オー・メドック・ジスクール 2016

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購入価格:2750円 味:B コスパ:B

 

 シャトー・ジスクールの廉価版(事実上のサードワイン)。普通廉価品だとファーストワインとラベルが全然違うものも多いですが、これはファーストに雰囲気が似ててかっこいいです。ラベルだけなら5000円って言っても分からないんじゃないでしょうか。

 開けてすぐ飲んだ1日目では、バランスが良いこじんまりとした味といった感じでしたが、1日置いた2日目になるとしっかり酸味が主張するようになりました。ボディはボトルにも書いてありましたがミディアムで、全体的にさっぱりとしています。甘みと酸味、すこしピリピリとしたスパイシーさがありますが、どれも突出した感じはありません。渋みもあまりなく割とドライで、パッと味がしてすっと消えるような感じがします。アルコール感がなくて飲みやすく、あまり引きずらない味なのでどんどん飲めてしまいます。気づいたらひと瓶軽く空けられてしまいそうな雰囲気です。

 あんまり味が濃くはないので、ワインだからと張り切って味の濃い料理と合わせてしまうと負けそうな気がします。

 コスパは良いと思うんですが、この前のムートン・カデと比較して1000円上乗せ分の味がするかと言われると微妙です。こちらの方が雑味がなくてクリーンな気はするのですが、気がするだけな気がします。1000円はまあラベルのデザイン代でしょうか。これが2000円以下で買えたら文句ないコスパなんですが…。

 美味しいのは間違いないので、シャトー・ジスクールの宣伝役としては十分役割を果たしているのではないでしょうか。ちょっと良いことがあって良いワインを買おうという時に、「じゃあこの前飲んだのが割とよかったからシャトー・ジスクールにしてみようかな」となる人はそこそこ居そうな気がします。ただ、シャトー・ジスクールはこれの3倍はするわけで…。果たしてこれの3倍美味しいのかとなると、まあ飲んでみないことには分からないんでしょうが、せいぜい1.5倍くらいなんじゃないかな…なんて思います。

 

ムートン・カデ・ルージュ 2017

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購入価格:1400円 味:B コスパ:A

 

 またも飲んでから1か月経ってしまったので、若干記憶があやふやです(笑)

 1400円という値段に釣られて買ってしまった1本。ワインにわか的には「ムートン」と聞くだけで何となくおいしそうな気がしてしまいます。

 ワインに限らずお酒は値段が安いとアルコール感があって飲みにくいことが多いですが、これはアルコール感もあまりせずとても飲みやすかったです。その時点でまず及第点です。その上ボディは割としっかりしていて、渋さやスパイシーさもあり、でもそこまでとげとげしくない。飲みやすいけどあまり味はしないというのではなく、ワインのおいしさの各要素を安いなりにちゃんと兼ね備えてて驚きました。

 正直これで1400円はなかなかのコスパなのではないでしょうか。1000円台でちゃんと赤ワインしてるものが買えるというのは結構うれしいです。初心者の味方であり、庶民の味方。ムートン・ロートシルトは遥か雲の上ですが、雲の下も案外悪いもんじゃなさそうです。

 でも一生に一度は雲の上も覗いてみたいです。

いまさらにB&W CM1

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 先日Alpair6Mを使ってスピーカーを自作したばかりですが、中古のB&W CM1を手に入れてしまいました。送料込みで約5万円弱でした。今まで自作スピーカーは数台作って使ってきましたが、いずれも小口径(10cm以下)のフルレンジなので、一度はメーカー品の2wayを使ってみたいと前々から思っていました。中でもなんとなくB&Wに憧れがあり、モニター調の音であること、サイズがちょうど良いこと、なによりデザインが非常に好みということでCM1にしました。
 届いて実際に見たときの第一印象はやっぱり高級感があるなあと。さすがに元々は10万円クラスなだけのことはあるなというか、こればっかりは自作ではなかなか太刀打ちできないなと感じました。中古ですが目立った傷はなく、ネットで隠れない部分が若干焼けて隠れる部分と少し色が変わってはいますが、全体的に発売から15年経ってるスピーカーとは思えない外観です。

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 感心したのはネットがマグネットになってて簡単に取り外しができるところ。てっきり爪とかで引っかかっててなかなか取り外しは面倒なのかと思っていました。初代CM1はツイーターをへこませやすいことで有名なので基本ネットをつけたまま使ってますが、見た目がかっこいいので簡単に外せるのはありがたいです。自作もこんな風にできないものか。
 さて肝心の音ですが、まず何と言っても低音が凄い。出過ぎなくらい出ています。CM1を使いこなせるかは低音のコントロール次第という記述をネットでよく見かけましたが、まさにその通りでした。スピーカースタンドがなかったので初めは使ってないスピーカーの上に乗っけて使ってたんですが、低音が出過ぎてぼわぼわしてがっかりしかけました。しかしその後即席でスピーカースタンドを作り、大きめのゴム足をインシュレータにして設置したら大分改善されて聴きやすくなりました。それでも音の傾向はそこまで変わらず、量は出てるけどそこまでくっきりはしていないといった感じです。
 全体的な音のバランスは、高音と低音が主張して中音域はちょっと引っ込む感じです。こう書くとドンシャリっぽいんですが、高音の刺激はあまりなく丸目の音なのであまりシャリシャリはしていません。ツイーターの解像度は高いのか女性ボーカルなどはしっかり浮かび上がってきます。全体的にふわっとした音でキンキンしていないので、スピーカーから80cm程度の超ニアフィールドで聴いてますが普通に楽しく聴けます。
 元々使ってたのがAlpair6Mでちょっと極端ですが一応比較すると、Alpair6Mの方がフルレンジ1発でネットワークもないからかダイレクトで自然な音がします。しかしやはり口径の違い(9cmと13cm)からか全体的な迫力、余裕では当然CM1に軍配が上がります。CM1はきちんと低音が出る分音量を絞っても楽しく聴けるので、夜に小音量で聴く時とかはむしろ大きいCM1の方がいいです。
 結論としては、「これが天下のB&Wの音なのか…」と感動するほどではありませんでしたが十分満足です。当然まだまだ上はあるでしょうが、これはこれで値段とサイズと音のバランスが良くとれたスピーカーだったのではないでしょうか。これで新品が10万円だったならそこそこフェアな値付けだと思いますし、今新品でDALIのOBERON1とか買うなら中古でCM1の方が(個人的には)いい気がします。
 ただ、今のB&Wのスピーカーを新品で買うとなるとどうなんでしょう。確かに707S2を視聴するとパッと聞いて分かる位にクリアな音ですが、15万円というのはいくらなんでもちょっといいお値段過ぎるんじゃないかと。下の607S2で10万円位しますがCM1より音は良いんでしょうか。ケブラーからコンティニュアムコーンに替わって確かに見た目はかっこよくなったと思うし、性能もきっと上がったはずだとは思うんですが、もう少し手が出しやすい価格設定でもいいんじゃないかなと思います。

Alpair6Mで自作スピーカー

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 MarkaudioのAlpair6Mを使ってスピーカーを自作しました。実はユニットを入手したのはもう1年以上前で、今までは余っていた箱に口径を変えるためのバッフル板を貼り付けてポン付け状態で使っていました。あくまで暫定的、近い内に箱作るから…とか思っていたらすっかり1年が経ってしまったという…(笑)
 箱のサイズはW144×H300×D221.5、木材の厚さは18㎜(バッフル板だけ+5.5mm)で容量は5Lです。バスレフダクトの共振周波数は60Hzに設定しました。
 木材にはシナランバーコアとバッフル板に5.5mmのシナ合板を使用しました。過去4度ほど自作しましたが今回始めてシナランバーコアを採用しました。見た目を考えるとラワンは使いたくない、MDFは塗装の下処理が面倒そうということでシナ合板を使いたかったのですが、近所のホームセンターをいくつか回っても厚さが15㎜以上のシナ合板は売っておらず仕方なくシナランバーコアに。いざ切り出してみるとかなり軽くて心配になりましたが、出来上がってみると響きすぎることもなくいい感じになりました。
 今回初めて穴あけから挑戦しました。

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 自在錐を使ってみたわけですがバーが回転するので結構怖かったです。2枚くらい失敗しましたが結果的にそこそこきれいに穴が開きました。

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コーナークランプも導入。無くてもよかったかも。

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今まで塗装は刷毛で塗ってましたが、どうしてもムラになるのと刷毛の後処理が面倒なので今回はラッカースプレーで塗装しました。4度ほど重ね塗りしたら大分ムラが無くなって満足です。

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吸音材はミクロンウールです。箱が鳴らないのが好きなのでバッフル板以外の全面にしっかり入れました。

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完成図。先日作った超手抜き自作スピーカースタンドに乗せてみました。

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 今回1番のこだわりポイントがこちら、ユニットの落とし込み加工です。加工と言っても穴のサイズの違う板を上から貼り付けただけですが。ユニットが浮き出てるといかにもただつけただけの自作感が出てしまいますが、ちゃんと落とし込むと売り物感がでる(気がする)ので満足感が高いです。トリマーがあれば貼り付けとかしなくても自由にできると思うので欲しいんですが…恐らく使う場所がない(笑)
 さて肝心の音ですが、いやはや久々にびっくりする音でした。今まで付属のガスケットも使わずにただポン付けしてて「まあこんなもんか…」なんて思ってたのが申し訳ない限りです(笑)
まず何と言っても解像度の高さ。スピーカーから1m以下の超ニアフィールドで聴いてますが全然刺激的でなく、かと言って音は引っ込まない。音場自体は奥に広がるタイプですが、ボーカルなど前に出てきてほしいものはきちんと浮かび上がってくるので聴いててとても楽しいです。同じMarkaudioでもCHR-70は結構高音が金属感がして好きじゃないんですが、Alpair6Mはとても自然に鳴ってくれるのでかなりいいです。値段が倍するだけあるといったところでしょうか。
 もう1つ特筆すべきは音のバランスの良さ。測定用のマイクがないので周波数特性が測定できないのが残念ですが、聴いた感じどこにも強調感がありません。そのためどんなジャンルでも聴けてしまいます。アニソン聴いても楽しいしジャズもよし、バッハの無伴奏曲とかもう最高です。
 欠点と言えば9cmのスピーカーなので低音や音のスケールはさすがにあまり出ません。ただベースはちゃんと聞き取れますし、無伴奏チェロ曲とかも違和感なく聴けるので、恐らく100Hz以上は全く問題ないと思います。コントラバスウッドベース)やティンパニバスドラム位になるとさすがにちょっと厳しいかな位です。クラシックなら室内楽バロック音楽位までだと大変楽しく聴くことができます。
 ということで大変満足感の高いスピーカーに仕上がりました。基本ニアフィールドで聴く人には最適のスピーカーなのではないでしょうか。ただこうなるとやっぱり兄貴分が気になります。Alpair7がめちゃくちゃ欲しくなってきてしまいました。完全に沼です(笑)